一部の地域でライムという名でバスウッドを流通させているようで、そのせいなのかどうかわかりませんが、帆船模型の世界では、ずっと以前から、バスウッドをライムと呼ぶようになっていたようです。(一部の帆船模型店(マイクロクラフト)では開店当初、海外の卸店からライムを購入していたのですが、中身はバスウッドのようでした。その地域ではライムと言う名でバスウッドが流通していると聞いたことがあります。今も専門店では、表示がそのままです。)

 海外製の帆船模型では、ほぼすべての木材が、高級家具に使われるようなハードウッドですが、唯一ライム(バスウッド)のみはソフトウッドです。(※船体カーブを形作る最初の板貼りに多用されています。下張りで見えないところに使用するからだと思います。)なお、日本製は帆船模型キットでは、ヒノキ(ソフトウッド)が主に使用されていますので、非常に加工しやすいと思います。

●色調

淡色でほぼ白色に近いが、時間が経つと黄色みを帯び、淡黄白色になります。木理は通直で、肌目は精かつ均一。帆船模型の製作のうえでのこの木材の利点は個体差が少なく、割れにくい点だと思います。ファーストプランクでは、たいてい外板はこの板が採用されています。(なお写真では、がさつな感じで写っていますが、実際にみると、ここまでのざらざら感は感じられることはなく、表面はもっと滑らかで色も白く見えます。)またシングルプランク(=一重張り)の船(色を塗る現代船に多い)の木材にも採用されることが多い。

●加工性

やや柔らかくて強度は全体的にやや低く、蒸し曲げの適性も高くありません。しかし、軟らかく割れにくい木材なので非常に加工性の高い木材だといえます。
表面が繊維質で毛羽立ちやすいのですが、塗装との相性は良好で、艶出し剤などで美しい仕上がりを得る事ができます。欠点としてはやや軟らかい木材なので、傷がつきやすい事があげられます。乾燥は非常に早く、狂いがやや生じやすい点を除けば、良好な木材といえると思われます。(乾燥すれば安定している。)腐朽しやすい条件下では耐朽性が低い。

●用途
どの方向に切削しても割れにくいという特性から、彫刻や、木製の玩具などの小物の材料として幅広く利用されています。非常に繊細でリアルなバードカーヴィングの趣味、特にリアルで微細な作品では、製作素材の定番とされています。