ガレー船とは

ローマ時代を題材とした映画なんかでは、おきまりのように、多くの漕ぎ手、多くの櫂(オール)を備えた戦闘艦がでてきます。これがガレーです。
ガレー船という呼び名は9世紀に発生したようですが、普通は、それまでに使われていた、バイレムやトライレム等もガレー船に含めて考えます。
そういう意味では、この船の歴史は非常に長いものとされます。その発祥はクレタ島に遡るとされますが、その後なんと17世紀頃まで主要戦闘艦として利用された記録があるそうです。
なお、ガレー船が戦闘に使用された最後の記録は、1808年のロシアとスエーデンの海戦だそうです。

特徴

船の特徴としては、漕ぎ手の力が効率よくいかされ、速力がでるよう、船体は長細く、吃水が浅く作られています。
たいていは1本から2本のマストをもっており、ラティーンセイルを備えています。
(ラティーンセイル:非常に長いヤードに取り付けられた三角帆のことを指す。ちなみにラティーンというのは、”alla trina”=三角という言葉のなまりからきているという方や、ラテンとか地中海という意味からきているという考え方などがあるようです。その性質については,キャラックの章で述べています。)

ガレー船の船首水中部には、敵船にぶちあてたり、敵船の櫂を折るための衝角(ラム)をもっています。
戦闘は、衝角による敵船への直接攻撃と接舷斬込によって行っていたようです。

ガレー船は、地中海のほかでは、沿岸部の浅瀬や島の多い地域に限って活躍していました。というのも波の荒い外海では、凌波性にかけるために適応出来なかったようです。
実際、秋から春までの地中海は波が荒いので、この季節にはガレー船は殆ど用いられなかったようです。

なお、一般的に帆走より櫂走のほうが早いため、櫂走時、帆はたたまれていたと言われています。

有名な船の種類

バイレム(アマティ社キット)

バイレム

最初にバイレムを作ったのは、フェニキア人と言われています。ギリシアの時代にも用いられており、戦闘時活躍しました。一般にバイレムは2段櫂船とよばれ、櫂の列が上下2段にわかれたこの時代のガレー船を言います。

トライレム(デュセック社キット)

トライレム

紀元前480年に起こったサラミスの海戦で活躍したとされます。現在WIKIで調べたりすると、この海戦の主力のように取り扱われていますが、以前、見た海外のTV番組では、トライレムを採用できていたのはギリシア海軍の中のアテネ船籍のみと解説されていました。(建造に莫大な金銭がかかることからアテネしか所有ができていなかったとの説明。異論もあったのだと思います。)
トライレムには有名な復元船があります。ギリシャの紀元前4~5世紀のトライレムを復元したオリンピアス号です。1987年に復元建造された船で2004年にもアテネオリンピックの聖火を運んで脚光を浴びています。

カエサル (マンチュア社キット)

カエサル

(マンチュアモデルの「カエサル」は、ローマの軍船をモデルにしたものでカエサルは商品名です)
ローマの船や海軍は、他の国の文化の吸収によって成り立っていったように思われます。独自の発達をみることができなかったように記されることが多いです。

ラ レアル (デュセック社キット)

ラ レアル

時代は、すっとあとに下ります。レパント海戦で活躍した頃のガレー船です。ちなみに、ガレー船で戦われた最後の戦いの記録は1808年のロシアとスエーデンの戦いです。そう考えると、ガレー船と言うのは非常に長い歴史をもつ船です。写真のガレー船ですが、ラレアルとはフランス海軍 ガレー船艦隊の旗艦に与えられた呼び名です。(写真はデュセック社です。コーレル社からは、そのおおよそ100年後のラレアルが販売されています。)
(レパント海戦は、イスラム圏とキリスト教圏の国々が争った、そして海戦の歴史の中でガレー船が主力となる最大にして最後の戦いでした。)




参照

なお、混同しやすいものにガレアス船というのもあります。
ガレオン船的な堅牢な船のつくりと、ガレー船の機動性(櫂が多数装備されている)を、とりいれようとして作られた船です。
しかし、レパント海戦(1571年)では、竜骨は普通の船の4倍の重さがあり、余りに重くて、風のない日は曳いてもらわないと動かなかった記録が残っているようです。
結局普及せず、その後見ることは、ほとんどなかったようですが、レパント海戦では、その大砲はかなりの効果をあげたといわれています。